6AQ5の原型にあたる6V6の規格表では、入力側から見てプレートまでとカソードまでの両方を足して、9pF、あるいは10.5pFとなっている。では、6AQ5ではどうなのか。
2021年3月15日月曜日
Miller effect
2021年3月13日土曜日
6094(6AQ5) + 6AU6
出力管をドライブする真空管に12AX7Aといった三極管が多用されるのは、この真空管がそれまでにはなかった高利得と低ノイズを実現した画期的な設計であったためだ。しかし、実際に使ってみると音の存在感が若干希薄であるように思う。使う時には、内部抵抗が高いので出力管の内部容量との関係をよく見定めないといけない。プリアンプには適しているかもしれないが、出力管をドライブするのは電圧だけではないので、もうちょっと電力があった方がよいように思う。
こういった真空管素子の欠点を回路デザインでカバーするとか、真空管をやめてMOS-FETを使うとか、現代的な創意工夫はいろいろあるだろうけれども、あまりやり過ぎると、どこまでが真空管らしさなのかがわからなくなる。ここはやはりもっともオーソドックスな素子で、なんの特徴もない回路で行きたいところである。
はじめに、初段管をどういう接続にするか検討するために、2種類組んでみて周波数特性を計測した。高域特性がずいぶん早くから落ちているのが判る。マイナス3dBで40KHz、10KHz。この時の三極管動作はプレート負荷20KΩ、プレート電圧180V電流4mA。五極管動作はプレート負荷240KΩ、プレート電圧140V電流0.5mA。初段管の出力インピーダンスを下げる工夫が必要。出力管はUL接続しているので、ここで出力段のインピーダンスが下がっているという問題もあるようだ。これは「ミラー効果」と呼ばれる真空管アンプを設計製作する人の間では既知の問題だ。真空管内に見えないコンデンサー成分があり、またこれが増幅率によって大きくなってしまうために、前段のインピーダンスとの間でローパスフィルターを形成してしまうのだ。これについては別項で詳しく書いてみたい。とはいえ、音はトランジスタアンプにはないテクスチャーがある。この段階ですでに、みんな真空管アンプが気に入った模様。
最終的には、初段は五極管接続で、出力段プレートから初段カソードに負帰還をかけている。電源は購入できたトランスによって、ブリッジ整流と倍電圧整流がある。出来上がって聴いてみるとやはりなんらかの差があるもので興味深い。倍電圧整流の方に分があるように感じられる。カソード・バイアス抵抗のグラウンドラインと音声信号系のグラウンドラインを分離するように配線してある。出力段はUL接続のままだが、後にここは五極管接続の方が好ましいという判断に至った。
外装の無い剥き出しのトランスばかりが5つも内部に詰まった構成。安く上げながら、デザインもよくするための工夫するのは楽しい。この写真は途中段階のもので左右の構成が異なっている。
当初使用した出力管は、6AQ5, 6005などSilvania製だったが、GEのものを購入してみたりした。その後、Bendix製の6094なる真空管の存在に突き当たり、ついにeBayで購入。この話は別途。